まず、5番安藤 充議員。
〔5番安藤 充議員登壇〕(拍手)
◆5番(安藤充 議員)
自由民主党大田区民連合を代表して、質問通告に従い質問をいたします。区長並びに理事者の明快な答弁を求めるものであります。
2月9日には
東京都知事選挙があり、我が党が応援した舛添氏が当選いたしました。新知事が公約している世界一の東京をつくるとして、経済、福祉、防災など3点を公約しています。2020年の
オリンピック・
パラリンピックの成功、防災対策は電柱の地中化や
木造密集地区の解消のための
都市改造プランの作成を挙げています。2020年には65歳以上が25%前後となりますが、
特別養護老人ホームの待機高齢者を減らすとしています。新知事は、2007年から2か年間、厚生労働大臣として年金記録漏れ問題や医療、福祉の課題などに対応し、福祉分野の政策通として、介護や待機児童解消なども挙げています。大田区としては、中小企業を中心とするものづくりの集積地として、羽田空港の
国家戦略特区構想、新空港線の早期実現を目指しながら対応しなければいけません。
舛添知事は堅実な政策運営を考えていると伝えられていますが、区長はどのように感じていらっしゃいますか、お答えください。
次に、平成26年度予算についてお尋ねいたします。
我が国の経済動向に目を向けると、内閣府が公表した1月の
月例経済報告では、景気の基調判断を2006年1月以来8年ぶりに「景気は、緩やかに回復している」と表現しています。景気回復に明るさが見えてきた中、4月には消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見込まれるとされています。この景気回復の流れが区内企業にどのように波及していくのか、慎重に見極めることが重要です。
平成26年度
一般会計予算規模は2420億2000万円余で、前年度比98億円、4.2%の増額予算となり、予算規模は史上最高の予算となりました。
予算スローガンを「地域力で総合防災力を強化、元気で安心な国際都市をめざします」としています。将来を見据えた施策を着実かつ的確に推進し、地域力を生かし、国際都市おおたの実現に向けて、多様化する区政の課題を区民と連携・協働して解決し、安心と豊かさを感じられる地域社会を目指しますことは大変高く評価するところでございます。
区長はどのような思いを持ち、何を重点的に取り組んでいこうと考え、予算編成に取り組んだのかをお聞かせください。
歳入は、特別区税3.2%増の678億円、特別区交付金は7.5%増の641億円となりますが、27年度以降、
市町村民税法人分の一部国税化により大幅な減収が予想されています。
地方消費税交付金は、消費税率の変更により10億円増の101億円となっています。
アベノミクス効果の3本の矢のうち、成長戦略が効果を発揮し、生産や雇用を生み、所得が増えることで特別区民税や消費税の税収増にもつながると考えます。
26年度予算編成に当たり、どのように歳入確保を行ったのか、また、
後期未来プランの推進の今後の5年間の
財政収支見通しをどのようにお考えかをお聞かせください。
今年度の予算執行において、入札不調が大きな課題となり、都内の公共工事が進まない異例の事態が相次いでいます。特に保育園や高齢施設といった私たちの生活に身近な施設で影響が拡大しており、26年度においても対策が必要となると考えます。その原因は、建設工事費の高騰と人手不足です。大田区においても建設工事を中心に不調が多発しており、今年度の工事発注を断念した案件が
区民センター改修や
特別養護老人ホームの改修工事など7件もあると聞き驚きました。
入札不調問題に対してどのように考え、どのように対応していくかをお尋ねいたします。
契約期間が長い工事は入札時の単価では工事ができない、毎月資材や人件費が上昇して工事の後半には赤字になる可能性が極めて高いといった声も聞きます。そのリスク回避のため、業者は入札価格にその分上乗せする結果、入札不調となるケースが見られます。入札後に価格調整ができる制度があれば、安心して入札に参加できると思います。区内業者優先の原則を維持し、区内企業が継続経営できる設備投資や人材育成、技術の向上といった分野まで経費が循環する適正価格で落札できることが必要と考えます。
区内建設業者の支援についてどのようにお考えをお持ちでしょうか。今後どういった支援を実施していくのか、お聞かせください。
未来プラン10年についてお尋ねいたします。
大田区基本構想で挙げた区の将来像の実現に向け、平成21年3月に基本計画おおた未来プラン10年を策定し、着実にその歩みを進めてきました。未来プランは、策定当初から
社会経済状況の変化に対応するために前期・後期に分けています。前期5年の間には、
リーマンショックによる経済停滞、東日本大震災の発生、少子高齢化の加速、
東京オリンピック・
パラリンピックの開催決定など、区民生活に大きな影響がありました。前期5年の取り組み評価を踏まえ、後期5年は変化を的確に捉えて、区の将来像実現に向けて力強く推進するとあります。
後期プランの概要版は、具体的な目標の設定、前期で取り組んだことなどがわかりやすく説明されています。区の将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」の実現に向け、26年度は後期プランのスタートの年です。おおた未来プラン10年(後期)策定にかけた区長の思いをお聞かせください。
未来プランの改定に合わせて、教育委員会でも
教育振興プランを改定すると伺っています。教育委員会をはじめ各小中学校においては、おおた
教育振興プランのもと、教育施策の充実に取り組まれ、児童・生徒の基礎学力の定着や不
登校生徒出現率の低下、
学校支援地域本部の立ち上げなど着実に成果を上げてきており、大いに評価をしているところです。
オリンピック・
パラリンピックの東京開催が決まり、羽田空港を擁する大田区では、今後国際交流が加速度的に進展していくものと考えるところです。国際社会に対応できる人材を育成するためには、小中学生のころから
コミュニケーションツールとしての英語教育や
国際理解教育がますます重要になってきます。
鈴木教育委員長の所信表明にもございましたが、平成26年度からの新たな
教育振興プランの策定作業を進めているということでございます。ぜひ、計画の中に英語教育をはじめとした
国際理解教育をしっかりと置き込み、小中学生のころから国際社会の中で通じる力を育む環境をつくっていただきますよう期待しているところです。
昨年12月24日には新たに津村教育長が就任されました。まさに平成26年度からの大田区の教育の指針となる
教育振興プランを策定しているこの時期でもございます。数々の教育課題のある中で、大田区の教育を教育長としてどうかじ取りしていきたいと考えておられるのか、新教育長としての決意をお聞かせください。
次に、公共施設についてお尋ねいたします。
以前、我が党の
田中一吉議員や
松原茂登樹議員の代表質問で、区内の特別出張所の老朽化に伴う建て替えについて区としての考えをお尋ねしましたが、区長は常々、地域力と防災対策の拠点として18特別出張所の役割を大変重視されています。これまで区長は、
子ども手当受領などの窓口拡充を進めるとともに、各特別出張所が地域特性に応じて地域の
コーディネーター役となり、18色のまちづくりや各地区の
地域力推進委員会の活性化など、区民に親しまれ頼りになる、地域で最も身近な区役所として機能強化、充実を進めてこられました。入
新井特別出張所、
鵜の木特別出張所の改築、つい先日は
六郷特別出張所がオープンし、現在、
新井宿特別出張所の26年度中の完成、オープンに向けて着実に整備が進んでいます。それぞれの地域の特性にふさわしい出張所となるよう、施設の複合化によるにぎわい創出や、地域情報を発信し、地域の方に親しまれるロビーの設置、さらに防災機能の強化など、地域の声を聞きながら、魅力ある出張所として整備を進めてこられたことは大変すばらしいことと評価をしております。
一方で、老朽化が進んでいる
羽田特別出張所及び千束特別出張所については、改築計画の見通しが示されていませんでした。そこで、平成25年第1回定例会において、再度我が党から
羽田特別出張所、羽田保育園をはじめ老朽化した施設の早急な対応を強くお願いしたところ、区長から、適地の検討など条件整備に努め、可能な限り早い対応をするという答弁をいただきました。期待していた折、早速今回、
羽田地区公共施設の最適配置・整備の計画によって、単に個別の施設を建て直すだけでなく、
区民サービスの向上のため、再配置や複合化など様々な視点から取り組んでいただいており、その検討には大変なご苦労があったと思います。我々の期待に応えていただき、長年思い続けたものが実現に向けて動き始めたことに大変感謝をいたします。
建て替えについて、地域の皆様から、特別出張所の建て替えはいつやるのかと言われていましたが、現状で3階まで階段で上がり、トイレも男女共用など利用勝手の悪さもありましたが、今回示された計画では、特別出張所と併設されている羽田保育園や
羽田文化センター、老人いこいの家ほかも建て替えになります。老朽化した公共施設を
羽田地区一体として捉え、整備を行うということですが、具体的に計画全体の方針をお聞かせください。
羽田地区には特色ある歴史と文化、また産業などの宝庫であるとともに、羽田空港のお膝元という点でポテンシャルを秘めています。そうした魅力を発信し、地域の活性化につなげていくようなものにしてほしいと思います。決して区だけでやろうと思わず、区民の声を聞きながら整備するとともに、地域力によって運営するような仕組みを実現してほしいものです。
改築が必要な蒲田西や田園調布、千束、各特別出張所についても、公園などの公共用地の積極的な活用など適地を検討し、早急に対応していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
25年10月の
決算特別委員会で、区内には
木造密集地域として大森中・糀谷・蒲田地区、西蒲田地区、そして羽田地区が都の整備地区に指定されています。昨年、一昨年と大森中・糀谷・蒲田地区で
不燃化促進助成や不燃化特区の指定などの取り組みが進められています。羽田地区にも、まちの防災性能を上げるため、道路の拡幅や公園の拡張・整備などがいよいよ動き出すということで、私も区やまちの方々と協力していきたいと思っております。
この整備はどのような姿勢で
木造住宅密集地区(木密地区)の、羽田のまちの再生に取り組むのか、強い決意のほどをお聞かせください。
続いて、新空港線・空港跡地について質問いたします。
羽田空港問題については、議員になってからその都度質問し、要望していますが、本年は2020年の
東京オリンピック・
パラリンピック開催を目指し、空港機能の強化や拡大を求められるスタートの年と言えるのではないかと考えます。一昨年、安倍政権が誕生して、それまで続いていた経済、財政、外交などが大きく変化し、羽田空港が再発展する環境があります。ここに来て日本文化が評価され、富士山の世界遺産登録や食文化、特に和食などが無形文化財としてユネスコにも認定されました。日本人特有のきめ細かな面、おもてなしの心なども宣伝され、円安や格安航空会社の就航拡大で訪日外国人が順調に伸びています。政府の目標である1000万人を超え、ホテルや
外国人向け店舗は商機到来と考えております。今後、観光政策の充実や
オリンピック・
パラリンピックの開催で訪日観光客が2000万人と予想されています。
さて、昭和20年の終戦を迎え、羽田にもGHQが進駐しました。当時、空港には穴守稲荷神社、
鈴納稲荷神社、弁天神社、水神社などに加え、羽田鈴木町、羽田穴守町、羽田江戸見町の3町があり、約3000人の住民が住んでいました。羽田鈴納会は平成20年、「消された町」起因に係る碑の設立、及び「羽田三町復元模型」の展示場所確保に関する要望書を大田区に提出しています。この趣旨は、現羽田空港内に居住していた旧住民で組織する唯一の団体で、旧羽田三町は羽田鈴木町、羽田穴守町、羽田江戸見町、今日、地図から消されたまちとなっています。その歴史、存在した証を後世に伝えるため、旧住民代表として次の2点を要望いたしております。当鈴納会員の長年の悲願であり、ぜひ実現に向けてご尽力を賜りますようお願い申し上げます。一つ、
羽田空港跡地内において、旧羽田三町と強制移転の歴史を後世に伝える碑を国家としての責任において設置すること。一つ、現在大田区役所1階ロビーに置かれている羽田三町復元模型を展示する場所を
羽田空港跡地内に確保すること。
私たちのふるさと旧羽田三町は、昭和20年4月15日のアメリカ軍の空襲により大半を焼失しました。終戦後、私たちは焼け跡の中から立ち上がり、少ない食料を分かち合い、裸電球が点滅する耐乏生活にあっても、空襲がなくなった世の中の穏やかさをささやかながら実感していました。昭和20年9月13日付け新聞の片隅に掲載された空港拡張の記事が私たちの暮らしを奈落の底に突き落とす契機になるとは誰も気づいていなかったのです。48時間の強制立ち退きがあります。現在の羽田空港は、住民の方々の犠牲の上に成り立っています。私たちは決して忘れてはならない出来事です。
戦後の羽田空港の歴史は、需要に対応するための拡張の歴史であるとともに、でき上がった施設を活用し運用するための環境対策の歴史であり、言いかえれば地域との共生の歴史でもあります。羽田空港が大田区にあることで、区民の利便性の向上や区内経済への波及効果など、大田区に対してプラスの面がある一方、航空機騒音など環境面でのマイナスの側面があり、プラスの面は今後も大いに伸ばしていくべきだと思いますが、マイナスの面は可能な限り低減させていくことが、地域と空港との共生の基本です。
沖合展開事業から始まり、国際線誘致など44.7万回で再拡張事業の計画枠いっぱいとなります。第5滑走路など空港発着量の拡大の議論に際しては、地域と空港の共生の観点が大変重要であると考えます。今後、さらなる空港発着量の拡大の議論が高まっていくことが予想されますが、こうした観点が大変重要であると考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
空港跡地の検討は、羽田空港移転対策協議会が軸となって検討してきました。とりわけ第1ゾーンについては、歴史的な経過を踏まえ、大田区が中心となって進めていますが、東京都との協力が必要です。しかし、一括取得の必然性がないと言いつつ、巨大な国際会議場をつくると発言した知事がいた一方で、羽田空港の機能拡充には関心があっても、空港跡地に対してはほとんど言及しないまま辞任してしまった前知事もいました。大田区は、空港跡地を地元区の発展のために利活用を図る一方で、国際戦略総合特区に組み込むことで東京都や国との連携を引き出し、首都圏や日本全体へ寄与する土地利用を目指してきました。
今後のまちづくりの方向を目指すスケジュールからいっても、早急に新知事と協力・連携して空港跡地の具体化を促進する必要があると考えていますが、いかがでしょうか。区長のお答えをいただきたいと思います。
新空港線について。
羽田空港の機能拡充と跡地のまちづくり、そして
オリンピック・
パラリンピックを契機とし、羽田空港を利用する国内外の乗降客は飛躍的に増加することが予想されます。空港とこれまでも、これから先も共生していく立場にある羽田地区をはじめとして、大田区は空港アクセスの増加などによる区内通過交通対策や、アクセスそのものの機能が充実するよう国や都に働きかけることが必要です。
これまで区は、環状八号線の大鳥居交差点の改良や首都高速羽田線の料金体系の改善などについて都や国に要望し、いずれも改良・改善に結びつけてきましたところは大変評価をしております。引き続き、区の空港臨海道路交通ネットワークの要である国道357号線の羽田空港以南への延伸について、都や国に要望していただきたいと考えております。
一方、この3月から国際線が昼間3万回増便になり、道路交通ネットワークの整備とともに、鉄道アクセスも充実していくことが強く望まれるところであります。特に外国人観光客やビジネスマンにとっては、公共交通の利用しやすさが魅力として評価されます。空港のポテンシャルを生かしたまちづくりを進める上では、地元羽田はもちろんですが、平成24年度から引き続いて訪日外国人旅行者受入環境整備の戦略拠点に選ばれている蒲田までの鉄道アクセスの充実は、大田区にとって大変重要です。
区長がお話しされていますように、新空港線の整備によって東急東横線や副都心線などとつながり、飛躍的に東京西南部の鉄道ネットワークは向上いたします。今回、区長みずからが関係区に足を運び、新空港線の早期整備について協力要請を行ったことに区長の強い意気込みを感じております。舛添都知事が蒲田駅前で行った選挙演説で羽田空港へのアクセスの必要性について話されたことは、これまでの地道に鉄道整備に取り組んできた区の思いが伝わったものと考えております。
知事宛てに要望書を出した目的、そして新知事は新空港線整備に前向きと捉えていいのか、区長のお考えをお伺いいたします。
新空港線整備による広域鉄道ネットワーク上の効果は、先ほど申し上げた東京西南部の広域交通網だけでなく、将来エイトライナーとの接続も検討しており、メトロセブンを含めた区部周辺部環状公共交通網整備の突破口ともなるものです。さらに、利用者便益分布状況図を見ると、川崎、横浜など神奈川県東北部でも利便性が高まることが予想されます。都知事へ要望書を提出した関係7区以外にも、新空港線整備による効果が波及する自治体が相当数あります。これらの自治体も巻き込んで、広範な支援の輪をつくることが早期整備着手に向けて重要と考えております。
要望書に名を連ねた関係区以外の自治体に対して区はどのように働きかけ、どのような成果が得られたのか、お聞かせください。
この間、区は、国の支援も受けながら、勉強会等で様々な検討を行ってきたという思いがありますが、新空港線の早期整備着手には国、東京都、鉄道事業者等関係者の合意形成がまさに喫緊の課題となっております。国際都市東京の鉄道ネットワーク強化という大きな大義を挙げ、都知事への要望書提出という新たなステージに進んだ今こそ、最大のチャンスがやってきたものと考えております。
関係者の合意形成を早期に図る上で今最も求められていることは何か、そして新空港線早期整備着手に向けた区長の決意をお聞かせください。
続いて、中央防波堤埋立地帰属と
オリンピックについて、私なりの意見を述べさせていただきます。
昨年9月8日未明、2020年
オリンピック・
パラリンピック競技大会の東京開催が決定し、日本国中が歓喜の声であふれました。今回の
オリンピック・
パラリンピックの招致スローガンはディスカバージャパン、つまり明日をつかもうというビジョンを表現しているものと聞いております。短い言葉ですが、その意味には非常に深いものがあると感じています。大会開催決定は、平成23年3月に発生した東日本大震災後、多くの人々に希望を生み出し、励まし、困難に打ち勝って明るい未来に向けて前進していくための大きな希望であると信じています。
今回の大会は、都心の中心で開催するコンパクトな大会です。競技会場については、東京圏にある33競技会場のうち約85%に当たる28会場が、都心の臨海部に位置する晴海ふ頭の選手村から半径8キロ圏内に集中しています。
現在、中央防波堤埋立地は、本区と江東区との間で帰属は決まっていません。中央防波堤埋立地は大田区の地先に位置し、城南島から東京港臨海道路で直接結ばれている海の森競技会場として3会場4競技が計画されています。しかし、江東区は、帰属の決まっていない埋立地で実施予定の
オリンピック・
パラリンピック競技及び競技会場について、あたかも江東区で実施されるかのような表記を区報やホームページを通じて、また一部報道機関への情報提供を行い、誤った情報発信を意図的に繰り返しているところであります。これは
オリンピック・
パラリンピックの基本理念でもあるフェアプレー精神に反するものではないかと考えます。これら一連の江東区の振る舞いについて遺憾の意を伝えるため、大田区長名で江東区長への申し入れを行ったこと、2月14日の総務財政委員会で報告を受けました。
昭和48年10月、中央防波堤内側埋立地における事務処理に関する覚書と、昭和63年7月、中央防波堤外側埋立地に関する覚書にあるとおり、中央防波堤埋立地において、特別区の処理すべき事務は暫定措置として江東区が行うこととし、当然なことですが、その事務の遂行と帰属とは一切関係ないと定めております。今回の申し入れは、この覚書に基づいて、これまでの報道に対する遺憾の意の申し入れと速やかな訂正、そして今後の報道については適切に対応されることを求めたものであると聞いています。
私自身は、帰属問題の早期解決のためには、相互信頼のもと、話し合いを進めていくことが大事であると考えています。帰属問題の解決に当たり、相互の信頼を回復するためにも、今回の申し入れは大変タイムリーだと考えています。江東区には、本区との信頼関係を損なわぬよう、信義誠実の原則に反しない対応を強く求めるとともに、本区においても、より多くの区民の皆様の理解を得るべく、今まで以上に大田区報などの広報を活用し、帰属問題への意識醸成を図っていく必要があると思っています。
次に、総合防災力の強化についてをお尋ねいたします。
東日本大震災から3年が経過しようとしていますが、被災地の復興はいまだに十分とは言えない状況であり、一刻も早い復興を願うところです。大田区は東日本大震災の教訓を踏まえ、総合防災力の強化に取り組んでいます。具体策が総合防災力の強化プログラムとして組まれ、平成24年度から実施されています。
平成26年度の防災関係予算は合計で40億円を計上し、本年度予算と比較すると予算額で14億5000万円のアップ、率で今年度対比55.7%のアップとなっております。平成26年度は総合防災力の強化をどのような考えで進めていくのか、大幅に防災関連予算を充実させた内容と見込まれる効果をお聞かせください。
昨年末には国の中央防災会議が首都直下地震のシミュレーション結果を発表しました。首都圏の地下構造は北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートの3層構造になっており、マグニチュード7クラスの地震はどこで起きても不思議でないと言われています。東日本大震災から3年が経過し、ともするとその記憶が薄れ始めているとも言われています。日ごろからどのように防災を意識した生活をどのように継続していけるかが大きな課題です。
昨年は防災運動会などに取り組んでいただいた地域もありました。私は、一人ひとりの区民が防災意識を持ち続けることが非常に大切と思っています。そのために、区としてはどのような施策を考えているのか、お答えください。
客引き客待ち条例についてお尋ねいたします。
蒲田駅周辺は都心に比べ比較的安価な飲食店が軒を連ねて、下町の雰囲気が蒲田の魅力でもあると思っています。一方、風俗営業の飲食店も約200店舗あり、駅東西ではこうした店の客引き客待ちの姿が目立ち、利用する通行人からも不安の声が上がっています。
東京オリンピック・
パラリンピック開催が決まったことで、羽田空港からも都心からもアクセスしやすい蒲田駅周辺の繁華街は、まさに大田区をアピールする絶好の場です。下町情緒を楽しみたいと考える外国人も含め、観光客の利用増は地域の活性化にもつながるものです。
客引き客待ち条例を制定することで蒲田の繁華街をどのようなまちにしたいとお考えなのでしょうか、お答えください。
蒲田駅周辺には、そうした下町情緒や活気を醸し出している居酒屋やカラオケ店も多く存在していますが、こうした店でも従業員が街頭に出て道行く人に声をかけるなどの客引きをしていることもあるようです。今回の条例により蒲田周辺の活気がなくなってしまうのではないかと懸念する声があります。
この条例は運用のあり方が重要です。条例ではどういった営業を対象としているのか、居酒屋やカラオケ店などの客引きに対しても適用されるのかなど、運用の考え方をお示しください。
以上で全質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○高瀬 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 安藤議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、舛添新知事の印象についてのご質問をいただきました。知事とは、選挙の告示前でございましたが、私を含めまして有志16名の区長でお会いをさせていただきました。そして意見交換を行いました。また、2月14日ですが、選挙が終わった後、区政会館で開催されました特別区長会総会において就任挨拶の際にお会いをしております。舛添知事は、
東京オリンピック・
パラリンピックを都と区で手を携えて成功させ、東京を世界一安全で安心に暮らせるまちにする、また、住民に身近な重要課題の解決のために都と区が連携して取り組む必要性があり、特別区の協力をお願いしたいとの考えを示されました。これまでマスコミによるテレビ報道などから受けていた印象とはちょっと異なりまして、周りの人の意見によく耳を傾け、特別区とも十分連携しながら都政を運営していかれるのではないかなという印象を持ちました。
続きまして、平成26年度予算編成の取り組みについてのご質問をいただきました。個人消費の回復や企業収益の改善など、景気にやや明るさが見えてきた一方で、4月からの消費税率のアップによる影響や税制改正によります法人住民税の一部国税化など、平成26年度予算は区財政の先行きに不透明な要素がある中での編成となりました。おおた未来プラン10年の前期5年間に、
リーマンショックに端を発しました世界不況、東日本大震災の発生、
東京オリンピック・
パラリンピックの開催決定など、区民生活や区政運営に影響を与える大きな社会状況の変化がありました。こうした変化に的確に対応し、区の将来像実現に向けまして、後期5年の計画を着実に推進するために、全ての施策の見直し・再構築に取り組むとともに、限られた財源の集中と事業の選択に努め、財源の確保を徹底するという方針で平成26年度予算編成に臨んだところでございます。
総合防災力の一層の強化、公共施設や道路、橋梁などの都市基盤施設の維持更新、待機児童の解消に向けての対策強化、未来に向けたまちづくりなどの優先すべき重要課題に的確に対応していくという強い決意のもとに、平成26年度の予算執行を進めてまいりたいと考えております。
次に、予算編成に当たりましての歳入確保の方法、
後期未来プラン推進のための今後5年間の
財政収支見通しについてのご質問でございますが、歳入につきましては、社会経済情勢や法改正の内容等を十分把握、分析し、国・都支出金の特定財源の確保を図りました。負担の公平の観点から、税、使用料、貸付金収入等について、これまで以上に徹底した徴収努力を行い、収納強化に取り組むよう指示をいたしました。また、公共施設の改築、道路、橋梁や公園の整備のために公共施設整備資金積立基金を活用するとともに、区債の発行を行っております。こうした歳入確保策を行いましたが、必要な事業執行に伴う歳出超過額約58億円を財政基金から繰り入れをしているところでございます。
後期未来プランの今後5年間の
財政収支見通しにつきましては、特別区税について増収基調が続くものとし、
地方消費税交付金は消費税率引き上げの影響による増収を見込んだところでございます。一方、特別区交付金は、
市町村民税法人分の国税化の影響により、平成27年度以降は大幅な減収を見込んでおります。おおた未来プラン10年(後期)に掲げた事業を計画的かつ着実に実施するために、補助金などの財源を確保するとともに、各種基金の繰り入れや特別区債の活用を図り、財源を確保してまいりたいと思います。
次に、入札不調問題に対するご質問ですが、議員ご指摘のとおり、都内の各自治体同様、区におきましても昨年度に比べまして入札不調の件数が増加しているところでございます。入札不調は、発注者として社会的使命を果たす上で看過できない課題であります。区では、採算性の低い小規模工事を別の工事とあわせて発注するなど工事内容の見直しを図り、予定価格を設定する際には最新の単価を適用するなど、適正な積算に努めております。また、建設業界の人手不足も深刻になってまいりましたので、工事が年度末に集中しないように分散化、平準化に努め、年度当初の契約ができるように予定工事の早期発注を行うなど、入札不調対策に取り組んでまいりたいと思っております。
次に、区内建設業の支援についてのご質問でございますが、工事契約約款には、賃金等の急激な変動に対処するための規定、インフレスライド条項がございます。インフレスライド条項とは、予期することのできない特別の事情によりまして、工期内に日本国内において急激なインフレーションまたはデフレーションを生じ、請負金額が著しく不適当となったときに、発注者または受注者は請負金額の変更を請求することができるというものでございます。国は、技能労働者への適切な賃金水準の確保のため、一定の工事契約についてインフレスライド条項を適用することを定め、各自治体に対しては、これを参考に適切な運用に努めるよう要請をしております。大田区におきましても、技能労働者に係る適切な賃金確保の観点から、この条項の適用を国に準じて実施をしてまいりたいと思っています。
未来プランについてでございますが、未来プランがスタートした平成21年度は、それまで順調でありました景気が、
リーマンショックに端を発した世界的な経済停滞により一変し、先行きが不透明な中での門出となりました。計画がスタートした後は、引き続く景気低迷や円高、急速に進む少子高齢化、さらには東日本大震災の発生など、次々と新たに解決すべき課題が発生をいたしました。一方で、2020年
東京オリンピック・
パラリンピックの開催が決定するという明るい話題もありました。厳しい状況の中で、地域の方のご協力をいただきながら、課題解決に向けてより強化すべき部分には集中的に資源を配分して、健全財政を堅持しながらプランを着実に推進することで、区民の皆様の安全・安心を確保してきたという実績は、後期に向けた確固たる礎となると自負をしております。
後期プランでは、前期プランの成果を把握し、現状を分析した上で、残る課題や新たに発生した課題及びそれを解決するための具体的な体系及び事業などを明示しています。地域力と国際都市を引き続き区政の推進の柱としながら、平成40年の将来像の実現に向け、安心・安全で、元気とにぎわいあふれる大田区を、この後期プランを柱につくっていきたいと決意をしているところでございます。
次に、
羽田地区公共施設の整備方針に関するご質問でございますが、
羽田特別出張所、保育園が併設されている施設及び
羽田文化センター、老人いこいの家などの併設施設は、ともに老朽化が進んでおります。そこで、羽田地区を一体として捉え、安全・安心で利用しやすく魅力のある施設整備と
区民サービス向上のために施設の最適配置を行うものでございます。仕事や子育てに忙しい保護者が利用する保育園を駅近くへ配置することで利便性が高まります。一方、高齢者向け区民施設につきましては、地域力の拠点である特別出張所に複合化することで、地域における多様な連携の効果が期待できるところでございます。さらに、羽田地区の歴史や文化や産業などの情報を発信するとともに、観光にもつながる地域情報発信スペースを特別出張所へ配置することにいたしました。羽田地区は、空港及び空港跡地に隣接し、近年は物流拠点が整備されるなど、今後発展のポテンシャルが非常に高い地域と考えております。その地の利を生かすことを念頭に置いて、地域の住民の皆様とご相談をさせていただきながら、本件施設整備を進めてまいりたいと思っております。
次に、改築が必要な他の特別出張所についても早急な対応をとのご質問でございますが、特別出張所は、地域に最も身近な区役所として、また災害時の防災拠点としての役割を担うなど、地域力推進の拠点として位置づけております。私は、18の特別出張所の計画的改築とハード・ソフト両面での機能向上を目指しております。この5年間で大森東、入新井、鵜の木、六郷、新井宿、羽田の六つの特別出張所の整備計画の具体化に取り組んでまいったところでございます。
一方、ご指摘の蒲田西、田園調布、千束の各特別出張所につきましても鋭意検討を重ねておりますが、建て替え用地もしくは仮設用地など必要な条件が整わないために、改築の具体的計画が整っていない状況にあります。引き続きまして適地の検討など条件整備に努めていくとともに、議員のご意見も踏まえまして、公共用地の積極的な活用や施設の複合化、施設配置の最適化なども考慮しながら、できる限り早い対応を検討してまいりたいと思います。
次に、木造住宅密集地域の整備と羽田地区についてのご質問でございますが、区は、これまで木造住宅密集地域、中でも整備効果が高く、また住民の皆様の積極的な取り組みがなされてきた大森中・糀谷・蒲田地区において重点的に整備事業に取り組んできました。木造住宅密集地域の整備には、地域にお住まいの皆さんの協力が欠かせないところでございます。羽田地区におきましても、住民の皆さんによる防災まちづくりの会からご提案をいただき、区はこれを受け、今年度整備計画案を策定し、地元説明を行ってきたところでございます。来年度からは、これを実行に移す段階に入ってまいります。今後は特に関係住民の方々との折衝が重要となるため、しっかり体制を整えて着実に進めてまいりたいと思っております。羽田のまちのよさであります住民同士の絆の強さを保てるように、様々なまちづくりの手法を活用し、地域の皆様と手を携えて、安心・安全で魅力あふれるまちへ再生してまいりたいと思います。
羽田空港と地域との関係についてのお尋ねでございますが、人、物、情報の結節点である空港を地域の活性化と発展に重要な役割を果たします地域資源として最大限に生かしながら、国際都市おおたの実現を図っていかなければならないと思います。大田区基本構想におきましても、羽田空港を大田区の誇れる財産と位置づけ、活力あるまちの実現を目指しております。もちろん、航空機によります騒音の問題や安全な運航の徹底など、引き続き安全・安心な生活環境の確保に万全を期することは言うまでもないところであります。さらに、戦後の強制退去や航空機騒音の低減に向けた取り組みなどの歴史の上に現在の空港があることを忘れてはならないと思います。議員ご指摘のとおりだと思います。羽田空港の機能拡充の議論が国においてなされていることは承知しておりますが、地元区といたしましては、地域と空港とがお互いに共存共栄していくという観点から対応をしてまいりたいと思います。
また、新しい知事の誕生と空港跡地についてのご質問をいただきました。東京都知事に就任された舛添要一さんは、蒲田西口の東京都知事選の街頭演説では、国家戦略特区を活用して、地元と東京都、そして国とが協力しながら空港跡地のまちづくりを進めていく意向を示しております。また、日本の国際競争力の強化には、大田区に集積するものづくり中小企業の基盤技術が重要であることも訴えておりました。こうした新知事の言動から、東京都とはこれまで以上に連携して空港跡地の具体化を促進できるものと期待し、私みずからも汗をかいてまいりたいと考えております。安藤議員の地元の方々からも空港跡地の早期具体化を求める声をお聞きしておりますので、しっかりと進めてまいりたいと思います。
次に、新空港線早期整備着手に関する要望書の目的に関するご質問でございますが、JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅の間のわずか800メートルを結ぶ新空港線の整備によりまして、区内の東西方向の移動利便性が格段に高まると同時に、東急東横線や東京メトロ副都心線などとの直通運転が可能となり、羽田空港から東京西部方面等を結ぶ広域交通軸が形成されます。さらに、アジアヘッドクォーター特区区域や副都心線沿線区と羽田空港間の利便性、速達性が向上し、国際都市東京の都市力アップにつながると考えます。こうした重要な役割を果たす新空港線の早期整備に当たりまして、東京都が主導的な立場で取り組んでいただきたいことを目的として、関係する7区長連名で要望をさせていただきました。
次に、舛添新東京都知事の新空港線整備に関するお考えですが、これも
東京都知事選挙の最中に、空港跡地のまちづくりと関連して、どうすれば羽田空港へのアクセスをよくすることができるのか、鉄道会社の皆さんとしっかりとお話をして、路線の延伸や新線の開発問題などをしっかりやっていきたいと思っていると新空港線について話をされました。知事には、鉄道整備の必要性を十分ご理解いただいているものと考えており、新空港線早期整備に向け、主導的な立場で取り組んでいただけるものと大いに期待をしているところでございます。
次に、自治体への働きかけと成果に関するご質問についてでございますが、エイトライナー促進協議会6区は、エイトライナー整備の突破口として新空港線整備を位置づけております。これまでもご支援をいただいておりまして、この間も担当レベルでの協力依頼を行っております。新空港線整備によりまして広域的な利便性が高まる川崎市については、今月3日に市長にお会いをいたした際に、私から新空港線早期整備の必要性をお話しし、市長からは、市民にとってもよいことであり、早期整備について支援をしていきますという旨の言葉を頂戴しております。また、横浜市につきましても早期整備のご支援をお願いするなど、支援の輪を広げているところでございます。
次に、新空港線早期整備に向け、今最も求められているものに関するご質問をいただきましたが、これまで鉄道事業者や東京都、国土交通省などと勉強会を開催し、早期整備に向け、採算性や事業手法について検討をしてまいりました。早期整備を実現するためには、区民の皆様のご支援はもちろんですが、鉄道事業者の合意形成を図るために、何よりも東京都が主導的立場で、大田区とともに積極的に取り組んでいただくことが重要であると考えております。東京都の積極的な取り組みと関係者合意が得られれば、
東京オリンピック・
パラリンピック開催にも間に合う可能性が極めて高い鉄道であり、区は引き続き新空港線の早期整備に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
次に、26年度防災関係予算を大幅に充実させた内容とその効果に関するご質問でございますが、26年度は大田区総合防災対策実施計画の3年目に当たり、区民の命を守る施策のさらなる強化、充実を図ることを目的に予算化を進めました。まず、延焼火災から身を守るために、操作が容易となる新型のD級ポンプを配備し、既に配備しておりますスタンドパイプとの併用により初期消火能力のさらなる向上を図ります。次に、児童・生徒の命を守るために、区立の全小中学校に緊急地震速報受信機を導入いたします。さらに、津波や集中豪雨などによる浸水被害から区民を守るために、水門や呑川に監視カメラを設置し、情報収集体制を強化いたします。そのほかにも、橋梁の耐震化や住宅、マンションの耐震診断・耐震助成制度の予算額を増やし、ソフト・ハード両面から防災・減災対策の充実を図ってまいります。災害から区民の命を守ることや、災害に強いまちづくりは、首長にとっても最も重要な責務であると認識をしておりまして、来年度もその思いで取り組んでまいりたいと思います。
次に、区民が防災意識を持ち続けるための施策についてのご質問をいただきました。東日本大震災から3年が経過しようとしている中で、いかに防災意識を保持し続けるかは大きな課題と思っております。来年度は、これまでの防災の普及活動に加え、区民が防災を身近に感じ、自助としての家庭内備蓄を推進する事業を開始いたします。具体的に申し上げますと、商店で扱う一般的な食品や日用品等に防災用品としても活用・備蓄することができることを示すシンボルマークを表示し、区民が買い物などの際に常に目にすることで防災を意識する機会を増やし、家庭内備蓄を促すものでございます。シンボルマークとなりますデザインを公募し、区商連と連携して広く区民にPRすることで商業振興にもつなげられると思っております。このほか、家庭内備蓄にふさわしい商品を特別出張所に展示するなど、日常生活の中で防災に対する意識を持ち続けられるように取り組んでまいりたいと思います。
次に、条例により蒲田の繁華街をどのようなまちにしていきたいかとのご質問でございますが、大きく分けて2点あります。1点目は、駅周辺で見られる風俗営業店などの不当に行われている客引きを防止することにより、蒲田のまちのイメージアップにつながり、区民の皆さんが安心して蒲田駅周辺を利用できる、安全・安心なまちにしていきたいという考えでございます。2点目は、安心・安全なまちづくりと相まって、国内外からも多くのお客様が蒲田のまちを訪れ、飲食、買い物や宿泊をしていただく、国際都市おおたにふさわしい、活気とにぎわいのあるまちにしていきたいと考えているところでございます。
次に、客引き客待ち条例の営業対象と運用の考えに対するご質問でございますが、本条例で対象としているのは、客に接待して飲食を提供する社交飲食店と呼ばれる風俗営業店等が行う不当な客引きや客待ち行為などであります。蒲田駅周辺を特定地区と指定し、重点的な取り組みを行ってまいります。また、風俗営業店以外の居酒屋やカラオケ店の客引き客待ちなどは、通行人の衣服を引っ張ることや、人の前に立ちふさがりなどにより人の通行の妨げとなるものは対象になりますが、それ以外は対象としてはいないところでございます。条例の運用に当たりましては、十分な広報・啓発に努めて周知してまいりたいと思っています。その上で、引き続き夜間パトロールについて、商店街、地域の皆さんや警察と連携して取り組み、条例の趣旨を生かしてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。
◎津村 教育長 安藤議員から大田区の教育を推進するに当たっての教育長の決意についてお尋ねをいただきました。教育という分野は、区民の皆さんにとって、みずから子ども時代に学んだ経験、保護者として子どもの教育に携わった経験、成人して生涯学習に打ち込んだ経験などから、とても関心の高い分野だと理解をしております。一方で、社会経済環境、生活環境の変化などに伴って、様々な問題・課題が提起されている分野でもございます。学校教育で申しますと、知識基盤社会への移行やグローバル化に伴って、それにふさわしい学力の形成をはじめとした、みずから考え行動し、他者と協働しつつ、新たな価値を生み出す生きる力の育成が挙げられますし、悩みや不安、不登校、いじめ、障がいなどの問題に対しては、一人ひとりに寄り添い、親身に対応していく必要がございます。このような様々な課題への対応の原点は、次代を担うかけがえのない子どもたちを一人ひとり大切に育んでいくということに尽きると思っております。そのために、子どもたちの知・徳・体のバランスのとれた育成、教育研究推進校の取り組みや種々の研究・研修を通じた教員のスキルアップを図ってまいります。あわせて、家庭の教育力向上、地域力による子どもの育ちの支援など、学校、家庭、地域の連携も不可欠でございます。
また、生涯学習の分野におきましては、産業構造の変化や人々の自己実現欲求の高まりなどから、区民の皆さんの学習やスポーツへの関心・意欲には瞠目すべきものがございます。区民の皆さんに学習などの機会を提供し、またその成果を学校や地域に還元していただく流れをつくっていく必要があると考えております。現行のおおた
教育振興プランを踏まえ、新たに策定するプランにおいて、これらを計画事業として掲げ、意欲的かつ計画的に推進してまいりたいと考えております。
学校教育、社会教育の分野についてるる申し上げましたが、いずれにいたしましても、大田区の教育のために使命感を持って取り組んでまいりたいと思っております。議会におかれましても、引き続きご指導賜れば幸いでございます。
○高瀬 議長 次に、20番
松本洋之議員。
〔20番
松本洋之議員登壇〕(拍手)
◆20番(松本洋之 議員) 私は、大田区議会公明党を代表いたしまして、当面の区政の重要課題について、数点にわたり質問をいたします。区長並びに理事者の皆様には、明快な答弁をよろしくお願いいたします。
本日は比較的暖かな日となりました。春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。春は夜明けごろが一番。だんだんと白くなっていく山の稜線が少し明るくなって、赤紫がかった雲が細くたなびいているのは本当にすてきですと。有名過ぎて今さら何も言うことはないのですけれども。この名文は、日本人として絶対に忘れてはならない文章だと思います。「枕草子」の冒頭、春はあけぼの。ついつい口ずさむ季節となりました。
2月9日、猪瀬知事の辞任に伴う
東京都知事選挙が行われ、自民、公明の後押しもあり、舛添要一氏が圧倒的勝利をおさめました。都知事という存在は、23区自治体にとりましても大きな影響を持つものであります。松原区長は、今回の選挙結果をどのように受け止め、舛添知事に大田区の重要課題である羽田の跡地活用や新空港線についてどうアプローチされていくのか、伺っておきたいと思います。
内閣府によれば、平成26年度の我が国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減には留意が必要であるが、経済対策など施策の推進等により、年度を通してみれば、前年度に引き続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれ、好循環が徐々に実現していくとのことであります。
翻って、平成26年度大田区
一般会計予算総額は2420億2235万4000円、前年度予算と比較し98億5167万6000円、4.2%の増という過去最高の予算額が組まれました。この積極的な予算編成に込めた松原区長の思いをお聞かせください。
1月31日に厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によりますと、平成25年12月の有効求人倍率は1.03倍となり、
リーマンショック以前の平成19年9月から実に6年3か月ぶりの高水準となりました。また、同日、総務省が発表した労働力調査によれば、平成25年平均の完全失業率は前年比0.3ポイント低下の4.0%へと改善されるなど、景気は緩やかに回復してきていると見ることができます。
その中で、基幹財源である特別区民税が対前年度比で3.1%増の20億8126万円増、特別区交付金におきましては対前年度比8.5%増の44億9400万円増となっております。区長はこの状況をどのように感じておられるのでありましょうか、お聞かせください。
我が会派は、昨年の10月3日に、日ごろからの区民の皆様から区政に対しての要望ですとか、また各種団体との意見交換などをまとめまして、256項目を予算要望として提出させていただきました。また、あわせてその際、区道街路灯の全面LED化、JR蒲田駅前再開発の早期着手などを含む内容を重点項目として要望させていただきました。
今回、この区議会公明党の重点項目に応える形で、区道街路灯の全面LED化や待機児童解消の施策が予算案に盛り込まれたこと、また、安心・安全の観点から、橋梁の耐震化、備蓄物品の整備をはじめとする総合防災力強化事業、新空港線整備促進事業や京急関連駅整備事業をはじめとするまちづくり施策、また勝海舟記念館の創設に向けての予算が盛り込まれたことは高く評価したいと思っております。この点につきまして区長のお考えをお聞かせください。
昨年は、2020年の
東京オリンピック・
パラリンピックの開催も決まり、東京都で唯一国際空港を持つ国際都市おおたとして、世界の玄関口として外国人のお客様をお迎えする体制づくりにさらに力を入れていくことになると思いますが、区長政策室への
東京オリンピック・
パラリンピック推進担当課長の設置、観光・国際都市部の新設など、その意味合いを込めたと思える組織改正がなされます。この組織改正における区長の狙い、そしてその思いをお聞かせください。
次に、自治体クラウドについて質問をいたします。
自治体クラウドは、住民基本台帳の基幹システムを自前で持たず、インターネット上に集約して複数の市区町村で共同利用する仕組みであります。平成27年度から利用開始となる共通番号制度と同時期に導入することで、システム運営経費を大幅に節減できるメリットがあります。複数の自治体が一体となって共同化を進めることによりまして、割り勘効果によるコストの削減や、システム管理等に必要な人員や業務の負担軽減が期待できます。また、堅牢なデータセンターを利用することでセキュリティーの強化、災害対策などを図ることもできます。
以前、担当の理事者の方と自治体クラウドについて懇談した折には、主としては財政や人材の基盤が弱い小規模市町村の参加を想定した取り組みということと、自治体間の業務の標準化を図ることへの労力などの懸念で否定的なご意見でありました。
現在、本区はそれぞれの業務ごとにシステムを開発し、独自サーバーを持ち、人を配置するような運用をされております。人の配置については、非常勤の職員を活用するなど、閑散期を基準とした人的配置も可能でありますが、独自システム、独自サーバーの運用では、繁忙期に合わせた大きな規模が必要となってしまいます。また、その開発や改修は、大きなものでは数億円単位と膨大になっています。例えば児童手当などの国の施策として業務が既に標準化されているものについては、自前のシステム、サーバーではなく、いわゆるクラウドの活用を区単独で行うのは、かなりのコスト削減効果が見込めるのではないでしょうか。注目すべきは、この業務は自治体間に違いがないということでありまして、単独でのクラウド化だけでもかなりの効果が見込めますが、自治体間で共用すればさらに効果的なのは明らかであります。
まずは単独でできる様々な業務のシステムの改善を行った上で、広域での共用利用を検討するべきではないかと考えます。共用利用の現状についてお伺いをいたします。また、共通番号制度導入に向けて、本区としてどのような取り組みがなされるのか、お伺いをいたします。
自治体クラウドの検討とあわせて、ペーパーレスを進めていくこともぜひとも進めていくべきであると考えます。パソコンの普及やインターネットLANのブロードバンド化、データ保存メディアの低価格化などによりまして、サーバーや光磁気ディスク、フラッシュメモリーなど、紙媒体以外に手軽にデータを保存できる仕組みが整ってまいりました。これらをフルに活用して、紙への印刷やコピーを極力減らすことにより、紙の印刷や保管にかかる諸費用を抑え、時間的にも効率的な業務の遂行を図るべきであります。そのことにより、紙資源や印刷機器の電力の節約による環境問題への貢献が見込まれることや、また、ペーパーレス化を推進することにより、資料の保存可能期間の延長や情報共有の効率化、資料保管スペースの節約などの効果を得ることができます。誰でも見ることができる紙資料に対し、電子情報は適切なアクセスコントロールによりセキュリティーの機密を保持することも容易となります。ぜひ推進すべきと考えますが、現状はいかがなのか、お伺いをいたします。
また一方で、国際都市を推進していく上でも、Wi−Fiの環境を整えていくことも重要であります。私の姪っ子がカナダのトロントで長く生活をしておりますけれども、昨年、一時帰国した折、メールやインターネット情報を得るために、まち中では気軽に入れるところとして、マクドナルドかスターバックスコーヒーでしか無料で使用ができないということで大変困っておりました。これは訪日外国人観光客も同じであります。国際都市を目指す本区として、公共施設においては、特にまずは区役所庁舎においては、無料でWi−Fiを利用できるようにぜひ推進すべきと考えます。この点についてもお答えをお願いいたします。
次に、地域包括ケアシステムについて質問をいたします。
社会保障・税の一体改革が進められる中で、介護保険では要支援者が切り捨てられる、特養には重度者しか入所できなくなる、病院もすぐに追い出されるようになるという懸念の声が一部聞かれます。何のための消費税引き上げなのかという声も一部の方々からも聞かれます。また、これからの医療や介護は地域包括ケアシステムを進めるという話も様々なところで聞かれているかと思います。今回の通常国会では、消費税引き上げ分を財源とした医療・介護の改革のための法律案が早速国会に提出されております。時代は団塊の世代が75歳を迎える2025年を目標に大きく動き出そうとしております。
高齢者が住み慣れた地域で、これまでの社会的な関係を維持しながら、自分らしく自立的に暮らし続けることを在宅で実現するための体制が地域包括ケアシステムと言われております。その実現のためには、介護、介護予防、医療、生活支援、住まいの五つの分野での取り組みが包括的に、利用者のニーズに応じた適切な組み合わせによるサービスの提供が行われ、かつ、入院、退院、在宅復帰を通して切れ目のないサービスの提供が行われることが不可欠であるとされております。また、これらの取り組みは、おおむね30分以内に駆けつけられる中学校区で行われるのが理想とされています。
地域包括ケアシステムの実現のため、介護保険制度は、これまでに2005年、そして2011年に大きく改正されました。本区ではこれまでどのような取り組みを行い、また今後、制度の第6次改定に向けてどうお考えになっておられるのか、お知らせください。
地域の中で区民のお一人お一人が良質な医療と効果的な介護予防が享受できれば、問題の解決は早いと考えます。病気を診るから暮らしを見るという観点、かかりつけ医を持つということをもっと区民に推奨するべきと考えますが、所見を伺います。
在宅介護では、地域で自分らしく自立的に暮らすことができる一方、介護サービスで生活全般をカバーすることはできず、家族などの負担が必要となります。施設介護では、24時間365日安心できる充実した介護を受けられるけれども、集団での生活のため、自分らしく自立的に暮らすことは一定の制限がつく。そこで、在宅で、かつ施設のような充実した介護サービスを実現するために、従来の居宅サービスに加えて、地域包括ケアシステムとして小規模多機能サービス、定期巡回・随時対応サービス、複合型サービスなど地域密着型サービスが新設され、在宅介護の充実が目指されてまいりました。しかし、現時点では、新しい地域密着型サービスを実施する事業者は増えていないのが現状ではないかと考えますが、本区の状況と今後の取り組みについてお知らせください。
定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスなど新設された地域密着型サービスでは、医療・看護との連携が欠かせませんが、介護と医療・看護の連携はまだ日が浅く、相互理解が不足していることや役割分担が不明確なことが現場では指摘されております。地域によっては在宅医療に取り組む診療所や訪問看護を担う看護ステーションが限られており、さらに医療や看護との連携が難しい。以上のような課題があるために地域包括ケアシステムの実現が進んでおらず、要介護度が上がれば施設に入らざるを得ないという現実があります。
高齢化が急速に進む中で、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しており、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅を確保することが極めて重要になってまいります。そこで、地域包括ケアシステムの実現のためには、介護保険で新しく創設された地域密着型サービスとサービス付き高齢者向け住宅を組み合わせることが有効ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
サービス付き高齢者向け住宅は、従来の施設とは違い住宅であることから、個別生活が優先され、高齢者はプライバシーと自由が一定程度確保された生活を送ることができる。また、外出や来訪が自由であることから、これまでの社会関係を維持した形での生活を続けることができ、従来の施設での介護の課題とされ、在宅介護によって目指された、高齢者が自分らしい生活を自立的に送ることがサービス付き高齢者向け住宅で実現できると考えます。
一方で、在宅介護では施設介護のように24時間365日安心できる介護を提供することは難しく、サービス付き高齢者向け住宅を活用することによって一定の利用者が確保できる条件が整えば、事業者側も常駐スタッフを配置できるなど事業基盤が整うことで、これまで在宅ではなかなか普及しなかった小規模多機能サービスや定期巡回・随時対応サービス、あるいは複合型サービスなど、24時間365日安心できる介護を安定した事業として提供することが可能となります。
以上のように、サービス付き高齢者向け住宅の利点を生かすことで、高齢者が住み慣れた地域で、これまでの社会的な関係を維持しながら、自分らしく自立的に暮らし続けることを支える一方で、地域においてより効率的な介護サービスを提供することができ、地域包括ケアシステムを実現することができるのではないかと考えます。いずれにいたしましても、私ども公明党は、地域包括ケアシステムの構築のために全力で取り組んでまいります。
次に、蒲田のまちづくりについて質問をいたします。
昨年末、蒲田駅周辺再編プロジェクトが決定したということは大きな前進だと思います。蒲田駅周辺の今後のまちづくりのベースとも言うべき計画が完成し、いよいよ具体的なまちづくりに取りかかっていく段階に入ることは、地域の方々も長らく待ち望んでいたことであり、いよいよ始まるのかと大きな期待を寄せているものと我々も喜んでおります。
私も、昨年の
決算特別委員会におきましても蒲田駅周辺再編プロジェクトについて何点か質問いたしましたが、その中で、区のほうからは、初動期整備の中でトップバッターとして、西口駅前の南側の段差解消や北側歩道の整備を位置づけた上で、設計に当たっては蒲田都市づくり推進会議の中に専門部会を設置するなど、地元の方の意向を最大限に尊重するための仕組みづくりを行う旨の答弁をいただきました。地域の皆様がこの蒲田を、快適、便利で、心から愛することのできるまちにしていくためにも、ぜひそうしていただきたいと考えております。
本区では、そのために西口駅前広場検討部会を既に立ち上げ、検討を開始したとお聞きしており、大変素早い対応であることを高く評価しているところであります。そこで、この内容を含め、本区では西口の初動期整備に向けてどのような取り組みを進めているのか、お伺いをいたします。
蒲田駅西口で早期に取り組む一方、東口ではロータリーを拡張した上で、地下に3000台規模の自転車駐車場を設置するなど、初動期整備とはいってもかなり大がかりな整備となります。その分、綿密に計画を立て、手続き等をしっかりと進めていかなければ実現がずれ込んでいく可能性があると思います。そうした意味からも、西口の整備と並行して、東口の再整備についてもスピード感を持って計画の深度化、手続きの進捗を図っていかなければならないと考えるところでありますが、松原区長としては今後どのように取り組んでいくお考えか、お伺いをいたします。
再編プロジェクトを具体化していくために、平成26年度は西口・東口双方で大変重要な年になると思います。我々議会といたしましても、地域住民の皆様、そしてかかわる職員と手を携えながら蒲田のまちづくりを実現していきたいと考えております。蒲田のまちづくりを進めていく上での松原区長の決意をお伺いいたします。
続いて、新空港線についてお伺いをいたします。
蒲田駅周辺のまちづくりを進めていくために重要な鍵を握っているのは、新空港線の早期整備であると考えております。本区が昨年に行ったおおた未来プラン10年(後期)策定に伴う区民アンケート調査で、住みよいまちづくりに向けて、大田区はどのような課題に力を入れていくべきかとの質問に対する答えとして、蒲田におけるJR・東急電鉄と京浜急行の接続改善は、建築物、道路、橋梁等の耐震性の強化に次ぐ第2位でありました。東日本大震災を経て、区民の皆様の防災意識が高くなり、建物やインフラの強化を望む声は当然でありますが、羽田空港の機能拡充に伴う空港アクセスや区内の東西移動の利便性の向上など、区民の皆様からは交通利便性の強化を望む声が大きくなっているものと推察をしております。特に、JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅が鉄道で結ばれていないことは、区民の皆様の通勤や通学、区内の移動を行う上で大変に不便であるとの認識が、このアンケートの結果にあらわれたことと感じております。
また、平成26年3月末には国際便が3万回増便となり、羽田空港は24時間国際拠点空港として、その機能がより強化されます。2020年
東京オリンピック・
パラリンピックの開催も控えており、今後、国内外から多くの空港利用者が訪れる日本の空の玄関口である羽田空港を抱える地元大田区としては、新空港線の早期整備により羽田空港へのアクセス向上を図り、空港から大田区内に多くの人々を呼び込み、本区の活性化に結びつけることも大きな課題だと考えておりますし、呼び込むためのまちづくりをあわせて考えていかなくてはなりません。こうした区民の熱い要望に区が応えるためには、運輸政策審議会答申第18号である新空港線の平成27年度整備着手に向けて、今まさに積極的に取り組むべきときであると思っております。
区民の皆様のご要望に応えるために、新空港線の早期整備に向けて、現在本区はどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。
新空港線を整備することで大田区内の利便性が大いに向上することはもちろんのことでありますが、波及効果として東急東横線や副都心線などの接続が可能となります。このことは、羽田空港を介して国内外と東京圏との広大な交通ネットワーク機能の強化につながり、東京圏全体の都市機能が向上すると考えます。京急空港線や多摩川線などを利用する人は、通勤や通学などの際に移動時間の短縮や乗り換え回数が減るなど、スムーズに自由が丘や渋谷、新宿、池袋方面の移動が可能となります。また、新空港線整備とともに、蒲田地域をはじめとした区内の魅力あるまちづくりと連動することで、大田区のポテンシャルを最大限に発揮することにもつながると考えます。国際化の推進を掲げる大田区は、2020年の
東京オリンピック・
パラリンピックの開催をきっかけに、国内外からさらに多くの利用者が国際都市おおたに来ていただくように、蒲田駅及び京急蒲田駅周辺のまちづくりや
羽田空港跡地を活用した産業交流施設の建設も並行しながら進めていく必要があると考えます。
さらには、東急東横線や副都心線、日比谷線との接続により、アジアヘッドクォーター特区区域である渋谷、新宿、六本木方面へのアクセスもよくなり、これまで東京の東側に強かった鉄道ネットワークが、新空港線によって都心部西側にも広がり、飛躍的に首都東京の鉄道ネットワークが強化されると思います。このことは、大田区にとってもプラスの影響をもたらすことになり、区民の行動範囲も大きくなると同時に、ほかの地域から大田区に移動する手段としての選択肢が広がり、お互いの地域に相乗効果が出るものと考えております。
新空港線の整備について、大田区のまちづくり及び東京のまちづくりとどのように連携させながら進めていくべきと松原区長はお考えなのか、お聞きをいたします。
昨年、2020年の
東京オリンピック・
パラリンピックの開催決定に感動した人は多いでしょう。多くのキーパーソンが一つにまとまり、チームジャパンとしての取り組みが功を奏したと言えます。
オリンピック招致に限らず、チームワークは日本の強みでありますが、大田区のものづくり産業の現状に目を転じると、その土台が揺らいでいるように見えます。
大田区の産業の特徴は工業の集積です。高度な加工技術の集積は、各専門企業間の連携補完、つまりチームワークによって付加価値の高い完成部品や製品の生産を可能にしていました。かつて9000を超えた工場は、日本の経済状況や産業構造の変化などによって半数程度まで減少しておりますが、工場がさらに減れば、各社の得意技術を結集して付加価値の高い新事業に挑むことが難しくなってまいります。中小企業がチームワークを発揮できる多様で厚みのある産業集積を再構築することが、地域経済と日本のものづくりを再生するための喫緊の課題であります。
例えば、成長産業の一つとして医療機器産業が注目をされております。医療機器産業を見てみますと、人工心臓弁や心臓ペースメーカーなどは100%輸入に頼っており、人工呼吸器や人工関節、人工骨の8割から9割が輸入品となっているそうであります。市場規模の大きい治療系医療機器の輸入比率は5割を超え、医療機器の貿易収支は約5800億円の赤字であり、日本の医療機器産業の国際競争力は概して低いのが現状であります。世界レベルでの人口増加、高齢化、新興国の経済発展に伴う医療施設整備の進展などで今後も成長していくことが見込まれる医療機器産業において、日本の競争力の強化には、医工連携で優良なアイデアを生み出し、市場性のある製品を事業化していくための企業間のチームワークが欠かせないと考えます。
本区は、これまでも区内外の工場誘致の受け皿となる賃貸工場アパートの整備をはじめ、新しい担い手となる起業の支援、各種助成制度による企業立地のサポートなど様々な施策を展開してまいりました。こういった施策をより強化し、成長産業を大田区が牽引していく使命があると考えます。このことについて松原区長はどのようにお考えか、お聞かせください。
そして、本区が取り組む
羽田空港跡地の産業交流拠点は、国内の行政区域や国境を越えた企業間の交流・連携の仕組みを構築するものであります。羽田空港が有する日本国内の航空ネットワークと充実した国際線のネットワークを利用して、国内外の企業と人材をつなぎ、新技術や新市場の創造につなげていく構想であります。国内初のボブスレーのそりを開発・製造する下町ボブスレーは、約60社の大田区のものづくり企業のチームワークにより、切削、板金、ばね、ゴム等の得意分野の技術を結集したプロジェクトであります。ここで培われたノウハウは、今後、航空宇宙産業や医療分野への参入に生かされていくと聞いております。
空港跡地の産業交流拠点で取り組む具体的な内容はこれから決まっていくと思いますが、大田区が世界に誇る基盤技術の集積と域内に備わっているチームワークを強みとして、国内、海外との広域的な産業連携の仕組みをつくっていくべきであると考えますが、松原区長の所見をお伺いいたします。
昨年末の日銀短観では、大企業・製造業の景況感が4四半期連続で改善し、6年ぶりの高水準となっています。中小企業においても、製造業は22年ぶりにプラスに転じるなど、
アベノミクス効果によって確実に景気回復が実感されるようになってまいりました。このタイミングを失することなく、また、この景気を腰折れさせないためにも、国家を挙げて様々な対策を講じていくことが重要であります。日本には、世界的に高く評価されている高度な技術力や、それを支える人材はいまだ健在であります。特に大田区においては、金型や鋳造、プレス等の基盤技術によって環境や医療といったリーディング産業を支え、その高度な技術力や人材を経済のグローバル化の波に乗せ、新たな成長産業としていくことが期待されております。
現在、東京都において、都市での活動を妨げる要因を取り除き、人、物、資本、情報を引きつけ、世界の活力を取り込むことで日本全体を潤わせる取り組みが、大田区も参画するアジアヘッドクォーター特区により進められております。この特区は、欧米の多国籍企業やアジアの成長企業の事業統括部門や研究開発部門を東京へ誘致し、新技術・新サービスを創出する魅力的な成長市場の創出を目指しています。
このような状況の中、アベノミクスの3本の矢である成長戦略の要となる国家戦略特区が昨年9月に提案・募集され、181の民間事業者と61の地方公共団体の計242もの団体から提案がなされたと聞いており、東京都においても、東京を世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり特区と題して、アジアヘッドクォーター特区の国家戦略特区としての抜本的なバーションアップを国へ提案しました。12月には国会において国家戦略特区が成立し、1月には国家戦略特区諮問会議が発足したところであります。国家戦略特区は地域を限定し、思い切った規制緩和や税制優遇に取り組むもので、これまでの特区との違いは、地方から要望するのではなく、官邸主導で進める点にあります。
国家戦略特別区域法では、国際的なビジネス拠点の形成を図るとして、例えば医療や教育、住居の面で外国人が暮らしやすいまちづくりを進めることや、日本の免許を持たない外国人医師の医療行為を認め、日本語がうまく話せない人も安心して診療を受けられるようにすることが盛り込まれております。今後、国家戦略特区の指定は3月になると見込まれておりますが、ぜひ東京都の提案が反映されますように取り組んでもらいたいと考えております。
この国家戦略特区に向けた東京都の提案では、法人実効税率の軽減をはじめ、医療や教育などの分野での規制緩和を講じて、ビジネスがしやすく、外国人が暮らしやすい都市づくりを訴えており、法律の考え方との整合性も高いと思われます。また、プロジェクトの例として、都心部の取り組みに加え、大田区の
羽田空港跡地第1ゾーンについても盛り込まれており、羽田空港の国際化を生かして国内外のものづくりのニーズとシーズをつなげ、新市場・新技術を創出するなど、産業の戦略拠点を形成し、特区の一翼を担うこととされております。
国家戦略特区への指定の可能性と今後の取り組みについて、本区の考えをお聞きしたいと思います。
以上で全質問を終わります。(拍手)
○高瀬 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 松本議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、舛添東京都知事との空港跡地や新空港線などの課題についてのご質問をいただきました。舛添新知事は、選挙期間中でございましたが、東京を世界一の都市にしたいと訴え、五輪、防災、福祉のほか、中小企業の育成や特区の活用、羽田空港からのアクセス向上など、大田区が取り組んでいる事業にも密接な政策を掲げております。舛添知事とは選挙告示前でしたが、私を含めまして16名の有志の区長とお会いし、意見交換をしたところでございます。また、蒲田駅での街頭演説の際にも、空港跡地や新空港線について前向きに取り組む旨の発言をされておりました。舛添知事に対しましては、周りの人の意見によく耳を傾け、特別区とも十分連携しながら都政を運営していかれるものと期待をしているところでございます。今後、東京を世界一の都市にするための具体的な道筋が組み立てられると思っております。空港跡地の利活用も新空港線の整備も、東京の都市機能の向上に大きく貢献するプロジェクトですので、これまで以上に東京都との連携を深め、事業が促進されるように取り組んでまいります。
次に、予算編成に込めた思いをというご質問でございますが、平成26年度予算は個人消費や企業収益に改善の動きが見られ、景気回復が期待される一方、国の税制改正による法人住民税の一部国税化による特別区財政調整交付金の大幅な減収が想定されるなど、基幹財源の先行きに不透明な要素を抱えての編成となりました。平成26年度はおおた未来プラン10年後期5年のスタートの年であり、計画の推進に向け、区の将来像を見据えた施策を着実かつ的確に実行していかなければならないと思っております。区の目指すべき将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」の実現に向け、総合防災力の強化、待機児童対策の拡充、公共施設の維持・更新、未来に向けたまちづくり、社会保障経費の増加などの課題に果敢に取り組むという強い決意で予算編成に臨みました。そうした思いを込めまして、「地域力で総合防災力を強化、元気で安心な国際都市をめざします」を平成26年度予算のスローガンに掲げ、安心と活気が感じられる地域社会の実現に向け、力強く区政運営を進めてまいりたいと考えております。
次に、基幹財源であります特別区民税、特別区交付金についてのご質問をいただきました。区財政は
リーマンショックに端を発した世界同時不況以降、基幹財源の減少が続き、さらに東日本大震災が追い打ちをかけるなど、減少傾向に歯止めがかからない状況が続いておりました。安倍政権によります経済対策効果もあり、最近内閣府が公表している
月例経済報告によりますと、景気の回復基調を示す表現が続いており、ようやく景気に明るさが見えてまいったところでございます。26年度は景気の回復による特別区民税の歳入額の伸びとともに、企業収益の改善を受けて特別区交付金の増額が見込まれております。しかし、特別区民税、特別区交付金は、景気の変動の影響を受けやすい財源であることに加え、特別区交付金については、平成27年度以降に税制改正による大幅な減収が見込まれております。平成26年度
一般会計予算においては、前年度に比べ特別区民税や特別区交付金などが増額となっておりますが、約58億円の財源不足を補うために、財政基金を繰り入れて編成を行ったところでございます。引き続き、事務事業の見直しや効率化に努め、健全財政を堅持しながら、計画的な行財政運営に努めていくことが必要であると強く感じているところでございます。
次に、重点項目が予算案に盛り込まれたことについてのご質問でございますが、平成26年度予算は「地域力で総合防災力を強化、元気で安心な国際都市をめざします」をスローガンに掲げ、編成をいたしました。区民の命を守る、最低限の生活を守るための総合防災力の強化に向け、街路灯のLED化、橋梁の耐震化、備蓄物品の整備などは必要不可欠な施策であり、防災に強いまちづくりを進めてまいります。また、待機児童対策は、未来を担う子どもたちの健やかな成長を支えるための緊急の課題であります。さらに、国際都市おおた実現のために、国際都市東京のさらなる都市力向上に寄与する新空港線の早期実現を目指して取り組みを強化すること、京急関連駅周辺やJR蒲田駅、大森駅周辺の整備など、暮らしやすい魅力あるまちづくりを進めることで、観光、文化の視点から、昭和初期の時代をあらわす歴史的建造物であります鳳凰閣・旧清明文庫を勝海舟記念館として洗足池公園に整備することなどは、いずれも優先的に取り組むべき重要な施策と考えております。今後とも、区の将来を見据えた施策を着実かつ的確に推進していく決意であります。
次に、今回の組織改正の狙いについてのご質問をいただきました。行政組織は、区を取り巻く社会情勢や行政需要の変化に応じて、常に最少の経費で最大の効果を発揮し、弾力的に対応できるよう整備する必要があると考えております。今回の組織改正におきましては、区を取り巻く社会情勢の変化に対応するために、
東京オリンピック・
パラリンピックの円滑な実施に向けた庁内検討などの調整を行う
東京オリンピック・
パラリンピック推進担当課長を区長政策室に新設いたします。また、
オリンピック・
パラリンピックの開催に向け、日本の玄関口である羽田空港を有する大田区として、海外からの来訪者を受け入れる体制を早急に整備する必要があります。そのためには、観光施策のさらなる推進に加え、国際都市の取り組みとの連携が重要と考え、観光と国際都市を所管する観光・国際都市部等を新設いたします。大田区は、都や国と連携し、区民の皆さんと一丸となって2020年
東京オリンピック・
パラリンピック大会の成功に貢献するとともに、さらに機運醸成に努めてまいります。今後も、社会情勢や行政需要の変化に迅速かつ的確に対応できる組織を整備してまいります。
次に、自治体クラウドに関するシステムの共用利用についてのご質問でございますが、自治体クラウドにつきましては、平成25年6月に政府が閣議決定いたしましたIT国家戦略、世界最先端IT国家創造宣言において、国が地方自治体の取り組みを加速するとしております。現在、区では東京都内の自治体が参加する東京電子自治体共同運営協議会の電子申請サービス及び電子調達サービスで自治体クラウドを活用し、システムの共用利用を行っております。また、今後新規に導入するシステムのうち、民間事業者が提供するサービス利用型のクラウドについて、活用できるシステムを検討してまいります。社会保障・税番号制度の導入に伴う自治体クラウドにつきましては、総務省が全国の自治体で新規に整備が必要となる情報連携のシステム、中間サーバーについてクラウドの積極的な活用を推進しております。このため、区では国が全国2拠点に用意します中間サーバーについて、経費節減、セキュリティー、運用安定性の確保の観点から活用を考えてまいります。自治体クラウドは、自治体間の業務プロセスの標準化やシステム間の連携等の課題がありますが、区といたしましては、今後とも国や東京都の動向を注視しながら、活用の機会を捉えてまいりたいと思います。
次に、ペーパーレス化の推進に係る取り組み状況についてご質問をいただきました。ペーパーレス化の推進につきましては、区は行政事務の紙ベースからデジタルベースへの転換を図るため、平成17年度からグループウェアや文書管理システム等を順次導入し、職員が共通に利用する情報基盤を整備してまいりました。組織的に共有すべき文書の電子化により、平成24年度の文書管理システムの目録登録件数、約29万件のうち、ほとんどが電子文書の起案文等となっております。また、申請・届け出手続きのオンライン化を進め、平成17年2月から電子申請サービスを開始しました。大田区役所エコオフィス推進プランの第3次計画では、紙資源の節約を掲げ、コピー用紙購入量の平成26年度の目標値を、基準年度であります平成21年度以下の約332トンとしました。今後も、紙の両面印刷や資料部数の精査等により、引き続き用紙購入量の低減及び一層のペーパーレス化に徹底的に取り組んでまいります。
次に、公共施設への無料Wi−Fi導入に関するご質問でございますが、公共施設の無料Wi−Fiの導入については、観光振興や災害対策などの観点から導入している自治体もあります。導入のメリットとして、簡単な操作で安定した通信環境を提供できること、利用者側に通信費用の負担がないことが挙げられます。今後の無料Wi−Fiの導入につきましては、来年度から区の一部公共施設への試行的な導入を考えてまいります。今後、「国際都市おおた」の実現に向けて、本庁舎のほかに訪日外国人が多く立ち寄る公共施設を考慮しながら、導入について検討をしてまいります。
次に、地域包括ケアシステムについてのご質問をいただきました。平成17年の改正では、システムの中核的な役割を担うさわやかサポートを区内20か所に設置し、また、夜間対応型訪問介護などの地域密着型サービスを整備しました。平成23年の改正では、各さわやかサポートに高齢者見守りコーディネーターを配置し、地域で支援が必要な高齢者の情報を集約する仕組みをつくりました。また、要介護者の在宅生活を支えるための定期巡回・随時対応型訪問介護看護を整備するなど、地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みを進めてまいりました。区では、制度改正に向けて、来年度策定する第6期介護保険事業計画の中で、さわやかサポートを中心とした総合相談体制の強化や、今後も増加が想定される認知症高齢者への支援など、区の高齢者が地域の中で様々なケアを包括的に受け、安心して暮らせる仕組みづくりをしっかりと進めてまいります。
次に、かかりつけ医を持つことを区民に推奨すべきであるとのご指摘でございますが、かかりつけ医の存在は地域医療の基本であり、必要不可欠なものであります。今後もかかりつけ医を持つことの大切さを周知してまいりたいと思います。
次に、地域密着型サービスの現状と今後の取り組みについてのご質問でございますが、現在、区では通所を中心に、宿泊、訪問のサービスを組み合わせた小規模多機能型居宅介護は2事業者、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は1事業者、夜間対応型訪問介護は2事業者となっており、認知症対応型通所介護は34事業者と増加し、環境整備が進んでおります。今後につきましては、居宅サービスの利用状況などを総合的に勘案し、第6期介護保険事業計画に基づき、着実に整備をしていきたいと考えております。
次に、地域密着型サービスとサービス付き高齢者向け住宅の組み合わせについてでございますが、サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化され、安否確認などのサービスが提供される住宅であります。これに地域密着型サービスを組み合わせることは、高齢者が安心して日常生活を送ることができる観点から有効であり、地域包括ケアシステムの実現のための一つの方策であると考えております。
次に、蒲田駅西口駅前広場の整備についてでございますが、地元の方々のご意向を反映させていただくために、蒲田都市づくり推進会議での了承を得て、西口の町会、商店街、まちづくり団体の代表等と区職員で構成する西口駅前広場検討部会を設置いたしました。この部会は、既に1回目の会合を公開の場で開催しており、初動期整備の具体的な内容について活発な意見交換がなされております。今後は、デザインコンセプトや駅前広場の機能などの検討をさらに進め、来年度に向けて整備デザインの基本的な方向性をまとめ、設計に反映させる予定でございます。
次に、東口駅前広場の再整備についてでございますが、早期の工事着手も視野に入れ、必要な準備を進めてまいります。当面の取り組みといたしましては、関係機関や関係事業者との協議を促進し、整備計画を深度化してまいりたいと思います。平成26年度は、駅前広場の拡張・整備及び地下自転車駐車場の設置に向けた手続きを進捗させた上で都市計画決定を行い、平成27年度には事業認可を得るところまで進めていきたいと考えております。
次に、蒲田のまちづくりを進めていく上での決意についてでございますが、蒲田は大森、羽田空港周辺と並ぶ大田区の重要な中心拠点であります。その再編整備は、区といたしましても重要課題の一つと認識をしております。今後は、ご指摘いただきましたように、区議会、地域の皆様とより一層の連携を図りながら、蒲田駅周辺再編プロジェクトを実現させる決意であり、区議会における引き続きのご理解とご協力をお願いいたしたいと思います。
新空港線の早期整備に向けた取り組みに関するご質問でございますが、区民の皆様へは年末から本庁ロビーや特別出張所の窓口において大型ディスプレーによるデジタルサイネージを活用した広報を開始しました。また、副都心を中心とする西南部の鉄道ネットワークの強化につながること、羽田空港からアジアヘッドクォーター特区エリアの移動の利便性が高まることから、関連する6区への支援要請とあわせて、7区長連名によります早期整備に向けた東京都への要望を行っております。加えて、川崎市、横浜市への支援要請や、さらに新空港線整備に向けた基金として、引き続き新年度予算案において5億円の積み立て計上をさせていただくとともに、国土交通省、東京都、鉄道事業者等への働きかけを強化してまいります。あわせて、新年度においては交通企画担当部長を新設し、新空港線の早期整備を含む大田区の交通政策の推進に取り組んでまいります。
次に、新空港線整備とまちづくりとの連携に関するご質問でございますが、新空港線の整備はまちづくりと連携し、魅力ある地域づくりに結びつけていくことが重要であると考えております。蒲田駅周辺のまちづくりについては、鉄道整備にあわせた連絡通路の整備や駅周辺の回遊性の向上、駅周辺の建築物の機能更新なども誘導してまいりたいと考えております。さらに、これらのまちづくりと国の外客受け入れ戦略拠点に指定されていることも生かし、活力とにぎわいのあるエリアとなるよう、まちの魅力を高めてまいります。新空港線の整備は、各地域間のネットワークの強化と交流機会の拡大に寄与するものと考えております。そして、来訪者の移動快適性を向上させることを通じて、安心して観光を楽しめる環境づくりにも貢献するものと確信をしております。このような観点から、東京のまちづくりとも連携しながら進めてまいりたいと思います。
大田区は、産業施策をより強化して成長産業を牽引していく使命があるとのご意見でございますが、新たな企業立地の促進も含めた工業集積の維持・発展の取り組みや成果の上がりつつある医工連携への取り組みをさらに進め、我が国の成長産業を支える役割を果たしてまいります。その上で、来年度は区内製造業の全数調査を初めて実施し、その結果を施策の強化につなげていくための予算を計上させていただきました。この調査では、大田区の強みでありますネットワーク型の取引構造の変化や開発型企業の動向、立地に関するニーズ等を把握いたします。この調査内容をもとにしまして、企業間取引促進や企業誘致など、さらなる産業振興のための施策の強化につなげてまいりたいと思います。
次に、国内外との産業連携の仕組みづくりについてのご質問をいただきました。羽田空港は、国内のハブ機能、海外との結節点機能を持つ国内最大の空港であります。ここに隣接する産業交流拠点では、区内企業はもとより、都内、全国との連携を強め、さらに海外との広域的な連携により、世界のものづくり需要に対応するための研究開発機能を置き込むことを想定しております。交流拠点に呼び込んだこれらの研究開発型の企業と区内に集積する基盤技術を得意とする企業が効果的に交流するため、ビジネスマッチングのための環境を整備します。さらには、産業交流拠点における研究開発の成果を世界へ発信し、ビジネスに発展させるための検討も進めてまいります。
次に、国家戦略特区についてのご質問をいただきました。国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的といたしました国家戦略特別区域法が昨年12月に成立し、ご指摘のように本年3月末までに区域が指定される予定と聞いております。大田区の提案は、国際化した羽田空港を活用して、空港跡地に国内外の産業連携の拠点を形成するとともに、国内のえりすぐりの資源を集積し、世界に発信する機能を通じて地域の活性化と国際競争力の強化を目指すものでございます。これまで、東京都と連携をしつつ、政府や関係府省へPRをしてまいりました。指定されることを期待しているところでございます。引き続き、東京都や国との連携を深め、協力しながら空港跡地のまちづくりを進めてまいりたいと思っております。以上でございます。
○高瀬 議長 会議が長くなりましたので、おおむね20分程度休憩といたします。
午後3時5分休憩
――
――――――――――――――――――
午後3時30分開議
○高瀬 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、会議時間を延長しておきます。
質問を続けます。45番
黒沼良光議員。
〔45番
黒沼良光議員登壇〕(拍手)
◆45番(黒沼良光 議員) 日本共産党区議団を代表して、質問項目に沿って順次区長に質問します。
まず最初に、安倍自公政権の暴走から区民の命と暮らしを守ることについて伺います。
安倍自公政権は、消費税大増税、社会保障切り捨て、原発推進、集団的自衛権行使容認、秘密保護法強行など全て多数の民意に逆らい、暴走しています。とりわけ、消費税大増税と一体の大企業へのばらまき政治は、社会保障のため、財政再建のためという従来の増税合理化論をみずから壊す結果となっています。2014年度政府予算案の特徴は、まさに法人税減税の大企業栄えて民滅ぶ、軍事費2年連続で2.8%増額の暮らしを犠牲に戦争する国へという安倍内閣の暴走を象徴する予算案となりました。
4月から8%の消費税増税で8兆円の負担増が押しつけられます。重大なのは、消費税増税で拡大した財源が全て社会保障に使われるという触れ込みでしたが、大企業の減税や大型公共事業、軍事費の増額で、消費税増税分のわずか10%しか社会保障に予算計上されていません。社会保障分野は逆に削減と抑制を列挙しました。年金給付の連続削減、70歳から74歳の医療費窓口負担の2倍化、生活保護費の給付削減、介護制度の改悪、国保料、後期高齢者医療保険料全て値上げなど、社会保障改悪がめじろ押しとなっています。
区長はこれまで、消費税は社会保障のためと答弁してきましたが、その間違った立場を改めるべきです。お答えください。
次に、アベノミクスで景気が回復傾向について伺います。
物価は上がり続けているのに収入は増えず、暮らしは立ち行くのか、仕入れにかかる消費税は増えても、そう簡単に値上げできそうにない、結局は身銭を切ることになる。景気回復はかけ声倒れです。大田区商連の機関誌の年頭挨拶で、会長は次のように述べています。昨年はアベノミクスで景気が上向きと言われました。しかし、商店街をめぐる環境は決して楽観視できるような状況ではありません。4月以降の消費の落ち込みが懸念されるところです。大田工連会長の年頭所感でも、アベノミクスが経済を立て直したという記事が書かれている一方、日本商工会議所会頭が、ものづくり中小企業の経営が思わしくない状況を鑑み、至急調査するよう指示を出したという記事もあったと疑問の声を上げています。
ある商店会の新年会に自民党の国会議員が、アベノミクスで景気がよくなってきていますと挨拶すると、まちには少しもよくなっていないよ、大きい企業だけではないかと参加者から大きな声が出ましたが、その国会議員は口を濁してしまいました。私が訪ねた八百屋さんは、今でも野菜の値段など高騰しお客が買い控えていて、蓄えを持ち出しながら営業を続けているが近所も潰れている、もう商売なんてやらないほうがいいと思っている、何がアベノミクスかと怒りをあらわにしています。
しかし、区長は、今定例会開会の挨拶で、景気は回復に向かっている、内閣府の景気ウォッチャー調査でも売れ行き好調との引用をしました。企業倒産数が減ったことだけを強調しました。しかし、実態は倒産よりも廃業が多いのです。倒産が少ないからといって、一概に景気回復の指針とするわけにはいきません。17日に発表された2013年12月のGDPは、駆け込み需要と円安効果があったにもかかわらず0.3%増にとどまり、民間予測を大きく下回りました。総務省の家計調査でも、2人以上の世帯消費支出は3か月連続減です。一方、東証一部上位企業はもうけを膨らませ、
リーマンショック以前の利益をさえ上回りました。厚生労働省が18日に発表した毎月勤労統計調査によると、基本給と残業代を合わせた決まって支給する給与は、前年同月比マイナス0.2%と26万739円で、19か月連続減です。アベノミクスの恩恵は、一部の富裕層と大企業にとどまっています。
区長の引用したデータは、大企業の目から見たものです。区長は区民の声、区商連、工連の立場で、さらに区内中小零細企業の立場で区政を担うべきです。お答えください。
その立場に立つなら、決して消費税増税の容認はできないはずです。逆に、今なすべきことは、賃上げと年金支給額引き上げ、適切な下請単価の引き上げで国民の購買力を高め、内需拡大の政治にかじを切りかえることです。そうしてこそ、大田区の
不況打開にもなります。区長は、この立場にしっかりと立つべきです。
日本共産党は、消費税増税に頼らず、日本経済に好循環をもたらすには次の4点の政策を掲げています。第1に、働く人の所得を増やす経済改革で経済危機を打開する。第2に、消費税大増税に反対し、税財政と経済の民主的改革で財源を賄う。第3に、社会保障の解体攻撃と戦い、社会保障再生・充実を図る。第4に、内需主導の健全な成長をもたらす産業政策への転換を図る。
提案の第1の働く人の所得を増やすことは、今や大きな国民世論になっており、政府も経済界に内部留保の活用を提起するほどになっています。連合も6年ぶりに1%以上のベースアップを要求するなど、新しい局面が生まれています。大企業がため込んだ内部留保は270兆円にもなります。この内部留保が市場に出回ることが必要です。その際、内部留保のない中小企業の賃上げはどうするかです。今こそ最低賃金など賃金アップで経済の好循環を、こんな声が海の向こうのアメリカオバマ政権から聞こえてきました。同じ動きはヨーロッパからも聞こえてきています。オバマ政権がしているように、中小企業予算を政府が抜本的に増やして、賃上げを援助することです。アメリカに学んで、大田区の中小企業を救うためにも、政府に中小企業予算を増やすことと最低賃金のアップで、政治の力で賃上げを実現すべきと意見を上げることです。
また、区長は、機会を捉えて申し上げているとこれまで答弁してきましたが、賃上げの要望はしていません。キャノンをはじめ、大田区内に本社のある大きな企業に直接出向いて要望することです。お答えください。
安倍暴走政権に対して、こんな荒廃した社会にしてしまっていいのかという怒りと不安の声が上がっています。必ず国民の矛盾が噴出してくるでしょう。生活保護改悪に関しては、日弁連、司法書士会、ソーシャルワーカー協会なども反対を表明しています。受給者1万人が不服審査に立ち上がっています。介護保険改悪に関しても、厚生労働省に協力してきたNPOや有識者からも批判が続出しています。年金削減に対しては、12万5000人が不服審査で立ち上がっています。日本共産党大田区議団も、これらの人々と手を結んでともに頑張ります。
次に、区民のためのおおた未来プラン10年(後期)素案の提案について伺います。
後期素案の基本として、地域力と国際都市を位置づけていることが問題です。地域力では、地域力と大田区との連携でまちづくりを進めると、連携という文言で区民と大田区を同レベルにして、財政保障という区の責務を放棄しているのが特徴です。つまり、地域力の名のもとに様々なことを区民に押しつけながら、予算を減らしていることです。例えば、住宅の耐震補強工事、不燃化事業、区民の備蓄、家具転倒防止器具の設置など、区の計画どおり進んでいないことが証明しています。自助と共助が地域力ですが、十分に必要な財源も保障し、自治体としての責務を果たすことです。区民に無理な負担を押しつけず、地方自治法第1条の住民の福祉の増進を図るという本来の責務を果たすことです。お答えください。
次に、国際都市について伺います。
区は国際都市として取り組むものに次の3点を挙げています。一つ目に、空港跡地開発計画。二つ目に、便数の増える空港と結びつけての新空港線の設置。三つ目に、京急蒲田、糀谷、雑色各駅前再開発などの大型開発で大企業奉仕の計画になっています。
このことから、国際都市とは大規模開発になっていることです。こうした開発は真の国際化ではありません。本当の国際化とは、お産難民解消、待機児解消で暮らしやすく働きやすい大田区、特養の待機者解消で介護しやすい大田区ではないでしょうか。若者が働きやすく、結婚できる大田区ではないでしょうか。実現し、真の国際都市、世界に恥ずかしくない大田区にしようではありませんか。お答えください。
以上、プランに述べられている快適で安らぎにあふれる暮らしやすい魅力あるまちづくりという真に国際都市にふさわしいまちづくりにするためには、保育園の待機児解消を2018年度まで延ばすのではなく、特養ホームの待機者解消のため、公的土地の活用も含め、独自財源も含めて、いずれも早期実現、区営住宅等の建設計画などを具体化することです。お答えください。
次に、区民の命と暮らしを守る予算への転換について伺います。